6.2 使用法

6.2.1 Spyderでの使用法

データ入力はWindows版のGUIプログラムであるOpenSTF.exeを使用し、 計算と図形出力はPython(Spyder)で行います。
操作手順は以下の通りです。

  1. OpenSTF.exe(GUI)を起動します。(注1)
  2. Spyderを起動し、[ファイル]→[開く]メニューで pythonフォルダにあるost.pyとost_post.pyを開きます。(注2)
  3. GUIで[全般]から[物体形状]までのデータ入力を行い、 pythonフォルダにpython.ostというファイル名で保存します。(注3)
  4. (MPIを使用しないときで計算するとき) Spyderでost.pyタブをアクティブにした状態でプログラムを実行してください。(注4)
  5. (MPIを使用して計算するとき) Spyderでファイルrun_mpi.pyを開き、"process = 2"行の数字にプロセス数を入力し、 run_mpi.pyタブをアクティブにした状態でプログラムを実行してください。(注4)
  6. 計算を実行すると、python.ostを読み込んで計算が開始され、 計算結果がコンソールペインに表示されます。 同時に計算結果がファイルost.npzに保存されます。(注5)(注6)
  7. GUIで[図形出力制御]のデータ入力を行い、 pythonフォルダにpython.ostというファイル名で保存します。(注3)
  8. Spyderでost_post.pyタブをアクティブにした状態でプログラムを実行してください。(注4)
    1個以上の図形出力ウィンドウが開きます。(注7)
    図形出力をやり直すには7.に戻ります。計算をやり直すには3.に戻ります。(注5)(注6)

(注1)
適当なエディターを使って入力データpython.ostを直接編集するときはGUIは不要です。 Spyderで編集することもできます。
(注2)
Spyderでは初回に以下の設定を行ってください。
・Tools > Preferences > Application > Advanced settings > Language > 日本語 (再起動が必要)
・IPythonコンソール > グラフィックス > グラフィックスのバックエンド > 自動
・プロットペインの右上の[三]マークをクリックして[インラインプロットをミュートする]をOFFにする
(注3)
ファイルpython.ostは毎回上書きされるので、保存が必要なときは名前を変えて保存してください。
(注4)
プログラムを実行する方法には下記の3通りがあります。
・[ファイルを実行]ボタン([|>]マーク)をクリックする。
・[実行]→[実行]メニューをクリックする。
・キーボードでF5を入力する。
なお、プログラム実行時に"ModuleNotFoundError"というエラーメッセージが出たときは、 [コンソール]→[カーネルの再起動]を行ってください。
(注5)
ファイル名python.ostはソースコードost.pyとost_post.pyの変数"ost_in" を変えると変更することができますが、 間違えやすいので慣れないうちはpython.ost固定としてください。
(注6)
計算とポスト処理を行うと標準版と同じlogファイルも出力されています。
(注7)
ウィンドウの大きさ、文字のフォント、文字のサイズを変更するには、 ost_post.py の該当行を変更してください。 既定状態ではタイトルが日本語を含むと文字化けします。 日本語を表示するには、plt.rcParams['font.family'] 行の数字を3または4にしてください。

6.2.2 計算環境の設定

計算環境を設定するにはソースコードost.pyを以下のように変更してください。

表6-2-1 計算環境の設定(ソースコードost.py)
設定項目設定法
CPU/GPUCPUのとき"GPU = 0"、GPUのとき"GPU = 1"
vectorモードnovectorモードのとき"VECTOR = 0"、vectorモードのとき"VECTOR = 1"
スレッド数"thread = 8" の数値を適当に変更する。GPUで計算するときもCPU部分で有効
MPI領域分割数"Npx = 1", "Npy = 1", "Npz = 1" の数値を適当に変更する。数値の積がrun_mpi.pyのプロセス数と一致することが必要
実数の型単精度のとき f_dtype = 'f4'、倍精度のとき f_dtype = 'f8'
整数の型電圧/誘電率の数が256未満のとき i_dtype = 'u1'、それ以上のとき i_dtype = 'i4'

6.2.3 コマンドラインでの実行法

Python版OpenSTFは"Anaconda Prompt"を起動してコマンドラインで実行することもできます。
OpenSTFフォルダの下のpythonフォルダに移動したのち以下のように実行してください。
表6-2-1の設定よりコマンドラインの引数が優先されます。

> python ost.py -cpu -n 8 -no-vector ..\data\sample\1st_sample.ost (CPU8スレッドで計算する)
> python ost.py -gpu -n 8 -no-vector ..\data\sample\1st_sample.ost (GPUで計算する、CPU部分は8スレッド)
> mpiexec -n 2 python ost.py -cpu -n 4 -no-vector ..\data\sample\1st_sample.ost (2プロセス×CPU4スレッドで計算する)
> mpiexec -n 2 python ost.py -gpu -n 4 -no-vector ..\data\sample\1st_sample.ost (2プロセス×GPUで計算する、CPU部分は4スレッド)
> mpiexec -n 8 python ost.py -p 4 2 1 ..\data\sample\1st_sample.ost (8プロセスで計算する、X/Y/Z方向の領域分割数=4/2/1)
> python ost.py --help (使い方の説明)

6.2.4 Python版と標準版の違い

Python版と標準版の違いは以下の通りです。

表6-2-2 Python版と標準版の違い
No.キーワード機能Python版標準版
12dfigure面上分布図を2Dと3Dで図形出力するか2Dのみ実装しているので無視されるオプションで指定可能
22dscale面上分布図の等高線の数第3パラメーターでで指定可能無視される(常に20本)